FUJIのX-T1

日進月歩でデジタルカメラは進化を続けている。そのためアマチュアでも高性能なカメラを簡単に入手でき、それなりの写真を撮影することができるようになった。これは非常に素晴らしいことだと感じる。しかし進化を止めることが許さない状況は、時に愛着や味わいという嗜好品としてのカメラの魅力を薄れさせてしまっていることも確かだ。

現在私が愛用するカメラは富士のX-T1。2014年2月の発売からすでに4年経ち、後継機も発売されているが、どうにも手放す気になれない。雑誌編集長時代はもちろん、現在でも取材の相棒として使っているが、機能的には4年前のモデルでもまったく申し分ない。自ら撮影した画像を雑誌の表紙に使ったこともあるくらい、描写力に優れた名機だと思っている。

手にする度に惚れ惚れするようなクラシカルな風貌。屈強なマグネシウム合金製のボディ、防塵防滴仕様、使い込んでボディの塗装が剥げてくる風合い。私が理想とするカメラの姿がここにある。

レンズはF2の35ミリ単焦点で決まりだ。もう少し明るいF1.4もあるが見た目でコイツを選んだ。ドンケのカメラバッグにはズームも入れているが、重い、長い、見た目が悪いという理由でほぼF2の35ミリを付けっぱなし。

2016年9月には後継機のX-T2が発売されている。画素数、ISO感度、連写、測距点、ほぼすべてのスペックにおいて更新されているが、その分、サイズがひとまわり大きくなり、重量も増した。これは頂けない。このカメラはクラシカルな風貌を楽しみ、片手で簡単に持て、気軽にシャッターを押せるから素晴らしいのだ。

発売から4年経ったX-T1は中古の価格も非常にリーズナブルになっている。X-T2を手にするくらいなら、X-T1を購入し、差額でレンズを買った方がいいと思うのは私だけだろうか。

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