手打ちの銅製ぐい呑み

小さい頃、親に連れられて訪れた百貨店で見掛けた銅器。ウロコのような槌目と鈍く光る質感に、子供ながらに興味を持った人は意外と多いはずだ。職人の手打ちの銅器には、不思議と男の物欲を刺激する何かがある。

昭和34年に、非金属の製造販売会社として設立した新潟県の新光金属株式会社。卓越した槌起銅器職人を有し、今も変わらず丹精を込めてひとつひとつ銅器を作る一流ブランドである。

根っからの酒飲みには純銅の器にこだわる人が多い。理由は見た目だけでなく、イオン効果で味が澄み、熱伝導によって冷えたまま嗜むことが出来るからに他ならない。そしてもうひとつ、男の浪漫に心を奪われるからだ。

小さなぐい呑みをひとつ作り上げるのに、熟練職人は何度、銅を叩いたのだろうか? ふたつとして同じ表情が存在しないぐい呑みが、縁あって自分の手元にやってきた奇跡。酒で高揚した気分が、このぐい呑みへの愛情をさらに深くしてくれる。

職人が何百回、何千回と槌目を打ち、作り上げた銅器。さぞかし高額なのではと思いきや、驚くほどリーズナブルな価格が付けられている。購入する側からすれば喜ばしいことだが、本来はもっと高額な値札を付けてもいいのではと思ってしまう。

巷には機械打ち槌目の銅器も数多く販売されている。職人の手仕事による槌目か否かは、銅器の縁を見れば一目瞭然。職人の手打ちは銅器の縁にまでぎっしりと施される。覚えていて損は無い知識だ。

新光金属株式会社ではぐい呑みの他にも、様々な銅器をラインナップしている。手打ちの銅器も湯沸かしや鍋など豊富に揃う。ぐい呑みの次は何にしようか。気が付けば物欲に火が付いている。これぞ一流品と呼ばれる所以である。(出典:ココショク 日本の手仕事雑貨

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